言葉で交わした結婚の約束を、形で表したもの、それが結納です。
結納は、日本古来より行われている婚約の儀式です。各地方によりまた、時代の変遷と共に結婚の方法も次第に変化しておりますが、やはり結婚するご両人の婚礼の盛儀の第一歩、幸せな結婚への第一歩として結納は意義ある大切な儀式であるといえます。
● 結納の取交し
本来の結納の形としては、新郎・新婦とも両家で結納品を取り交し、挙式当日までお互い飾っておきます。新郎側「帯料」、新婦側「袴料」としてお互いに納めますが、この場合新婦側の袴料を見込み「帯料」を多めにするか、額はそのままで「袴料」を辞退するか(お仲人を通して)決めておきましょう。また、当日交換をしない場合は、新郎側から納められた納品を「お色直し」をして後日納める「お引出結納」の形や、当日は新郎側の結納品に対して「受書」を用意して頂き、後日「袴料」の代りに品物を贈り、取り交しの形をとる場合もあります。また、最近はホテル・料亭など両家が一ケ所に集まり結納品の交換をする「出会い結納」の形式で合理的に簡略化されているようです。
● 結納式を控えての新郎側における準備と心得とは?
いちばんの問題は、どういう形で結納を交す(または納める)か、結納金をどうするか、どのように決めるかということです。いずれも本人の自覚で決めることです。そしてそれに見合った結納品を早めに準備しておきます。その場合、指輪を結納の中に入れるかどうかも、よく考えてください。
父親は、両家がふさわしい結納を取り交わせるかどうかのアドバイザー役です。息子の分に応じた結納額と結納品になっているかどうかを見守ってやりましょう。
全部が整ったら新郎側でも内披露として、二〜三日ほど床の間などに飾ってください。ご近所や知人、友人への結婚宣言としてです。
このほか、母親にはいろいろな雑務が残っています。当日に必要な袱紗や風呂敷の準備、装いのチェック、新郎側で祝い膳をするのならその準備もあります。
● 新婦側としての準備と心得は?新郎側と歩調を合わせて…
新婦側での心得として大切なことは、どんな形で新郎側から結納が納められるかをよく知っておくということでしょう。もちろん、その前段階として、結納について新郎側に過度な要求をしないということも、よく心得ておいてください。
父親は、結納を受ける娘の証人としての立場をよく理解し、うろたえないこと。新婦側で祝い膳をする場合でも、積極的にふるまい、新郎側や仲人に度量の大きさを見せたいものです。
母親は、当日は目録を飾った受書を持ち出したりの動きの部分を担当するわけですから、立ち居振る舞いの美しさが一番のポイントになります。日ごろからお礼の仕方や歩き方を訓練して身につけておいてください。
● 御結納品について
結納品は結婚式当日まで、新婦側、新郎側両家とも床の間に飾っておきます。当然ながら結納品は先様の親類や多くの関係者に披露されますので、失礼のないように新調、優美、丁寧な品を選びましょう。
結納の品数は五、七、九品目など奇数を吉例としますが八品目は家内喜多留も加入していますので、末広がりとして喜ばれます。十品目については結納と同時に結美和を贈られる方々が多くなりました。その場合についてはいろいろ説があり奇数吉例の主張は地方によっては発言を控えています。
※結納品取り扱っております。
目録…御結納の品名と数、結納日・氏名(本人同士または親同士)を書き入れます。
長熨斗…あわびの肉を長く引き伸ばしたもので延命・不老長寿・長生不死の薬といわれ、昔から祝儀のときには必ず添えられています。
金宝包…結納金のこと。男性からは「御帯料」と、女性からは「御袴料」として納めます。
家内喜多留…酒肴料のことでこちらの負担分を奇数の額にして家内喜多留料としてお金で納めます。
寿留女…するめは二枚以上入れます。保存食として備えに対する気持ち、また噛めば噛むほど味のある仲の良い夫婦になるようにとの意味です。
子生婦…昆布は板昆布を二枚以上入れます。子宝に恵まれるようにとの意味です。
友白髪…麻を束ねたもの。ともに白髪になっても仲睦まじく、添いとげるようにとの意味です。
勝男節…鰹節は背節、腹節を一対にして紙包か桐箱、文庫箱へ入れます。男性への強運への祈りと逞しさの象徴。
寿恵広…白扇一対からなり、純白無垢そして家の繁栄を願う末広がりの意味です。
結美和…結納と同時、または結婚式までに婚約指輪を贈られる場合は、結美和一個と書き入れます。
御受…結納は取り交わすことも意味しますので、受書を納めて受け取ったしるしとします。
● 目録・受書について
「目録」とは、結納品の内容を示すためのもので、結納を贈る側が用意する。
「受書」とは、結納品を受け取ったしるしとして、受け取る側が用意する。